さだはすごいんだ「眉山」(さだまさし)
本業が作家でない人の書く本が好きである。たまに太田みたいな痛い人もいるが(マボロシの鳥は痛かった)基本、才気煥発、なるほど本業でもしっかりしている人は文章もいいこと書くのねって思ってしまう。
とくにミュージシャンの書く本はいい。なんだろ、リズムがいいのだ。読んでいても心地よくなる。たぶん文章を書きながら彼らはリズムを刻んでいるのかなとも感じるのだ。
当然のことながら山下洋輔は別格だけれども(読んだことない人、読んでみなよ!ほんといいんだから。昭和の名エッセイは絶対読むべきだと思うよ)、オーケンの小説なんかも好き。そういえば辻仁成も作家編入組だよね。
でこの方もいいんだよなぁ。
『眉山』さだまさし
すい臓がんで余命幾許もない母。彼女は自ら献体を申し出ていた。それを知った娘は・・・
さだの本の良さはとんでもなく「モラル」なところである。まあもともとさだ自身がすばらしきモラリストだと思っているのだけれど、それは本にも現れる。この本に出てくる母親の生き方に僕らは目を奪われる。
そしてその生き方に憧れるのだ。ここらへんはさだの筆の上手さ。この死にゆく女性の最後まで毅然とした態度に背筋が伸びる。シャンとね。
ストーリーとしてはありきたりだけどそれでも僕はこの話しが好きだ。それはさだが臆面もなく「いいことはいいことだ」と語りかけてくるからかもしれないと思っている。
僕はもともと音楽趣味がかなりマニアックでテクノやジャズ、フレンチポップス、渋谷系あたりを好んで聞くんだけど、なぜかさだは聴いてしまうんだよなぁ。これ七不思議のひとつ。
さだの曲は二つあってシリアスとユーモアだと思っている。ユーモアなさだも好きだけど僕はシリアスなさだが好き。とくに好きな曲として「償い」がある。
これ、とにかくさだの凄さが伝わってくる曲である。この曲を初めて聞いたときは鳥肌がたったよ。
というわけで是非こんな曲も聞いてみてください。「償い」です。