本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

優しいホラー「草祭」(恒川光太郎)

僕はホラーが好きです(まあ今更言うまでもないけど)。 小説は言うに及ばず、映画なんかも大好き。だいたい中学生のころ初めて一人で見に行った最初の映画は「エルム街の悪夢」だからね。ホラー歴30年以上です。年期入ってますよ。 でもね ホラーと一言で…

昭和的なブンガクとして「嘘はほんのり赤い」(片岡義男)

実に20年ぶり(だと思う)に片岡義男を読んでみた。 そうあのバブルの時に一世を風靡した、バイク、コーヒー、セミロングの片岡である。当時、片岡義男的ストーリーに憧れ、男の格好よさ、女の可愛さとはこんなもんだといかにもステレオタイプに影響をうけ…

なんて躾いい子、いいケツしてんな「喜劇悲喜劇」(泡坂妻夫)

昭和にいたトリックメイカーは二人だと思っている。 真っ当なトリックメイカーは鮎川哲也。彼は本当に真っ向勝負のトリックを作っていた(追悼)。 そして 真っ当でないトリックメイカーと言えば・・・ 泡坂妻夫である。 とんでもない飛び道具の嵐。泡坂はつ…

バブルの頃だから意味があった「ナチュラル・ウーマン」(松浦英理子)

白いってことはなかなか「普遍的」ではないと思ってます。 いや時代に、文化に、雰囲気に・・・それぞれ面白いは変遷していく。いつの時代でも通用する面白さってのはないのではなんて思っているんですよ。 例えば僕はお笑い好きですけど、今見ると当時あれ…

かぢいくんのこと「檸檬」(梶井基次郎)

かぢいくんは散歩が大好きです。とにかくそこらへんをづいづい歩きます。 「檸檬」では京都を 「城のある町」では松坂を 「泥濘」では東京を 「路上」では散歩して転ぶまで づいづいづいづいづいづいづい 散歩しかすることがないみたいです。有吉散歩に出れ…

今ならすぐたたかれそう「文士と姦通」(川西政明)

僕はサークルでの恋愛と職場内の恋愛が苦手です。あれ、困りません?ああ、この人前付き合っていたのに別れたんだ。どうしよう。どう接したらいいだろう。いやこっちは呼んでこっちは呼ばない・・・いやそれも変だし。っていうか前は違う人と付き合っていた…

ひどい本三連発「クリスマス・テロル」(佐藤友哉)「殺人鬼教室BAD」(倉阪鬼一郎)「墜落遺体」(飯塚訓)

ここんとこ酷い本ばかり読んでいる。 まあ酷い本を読むのは今に始まったものではないけれどさ。 まず佐藤友哉 『クリスマス・テロル』 自殺志願者の少女が島に流されてそこで男に助けられる。男は27歳。そして島には記憶を無くしてしまうもうひとりの少女、…

ここぞとこきおろし「作家の値うち」(福田和也)

いや批評家ってのはつくづく凄まじいよねえって話しですよ。 まず、世の中の本をこれでもかで読まなければいけない。ここまではわかるわかるぜ。で問題はそこから。それだけ読んで文壇にもある程度自分の立ち位置ができるということは作家の先生と仲良くなる…

ぐっちょんばっこん「悪の教典」(貴志祐介)

キター!!!!!!!!! 人間が書けてなくたっていいじゃないか。 展開がありきたりだっていいじゃないか。 漫画みたいな造詣だっていいじゃないか。 出てくる人物が「こんなやついねえよ」だっていいじゃないか。 もうね、怒涛の展開に脳髄でっぱなし、い…

狡いなぁ「赤い夢の迷宮」(勇嶺薫)

ええっとですねえ、 例えば普段ガングロ、化粧も決めてばっちりメイク。しかもスマホはデコレーション。話す言葉も語尾があがる感じ。でもなぜかテストは高得点。学年のトップクラス。実はいつもさりげなく勉強は一日3時間はやっている。 ずりい・・・ ある…

さだはすごいんだ「眉山」(さだまさし)

本業が作家でない人の書く本が好きである。たまに太田みたいな痛い人もいるが(マボロシの鳥は痛かった)基本、才気煥発、なるほど本業でもしっかりしている人は文章もいいこと書くのねって思ってしまう。 とくにミュージシャンの書く本はいい。なんだろ、リ…

読むのは楽だけど書くのは面倒「りぽぐら!」(西尾維新)

ア段 西尾維新の本を読む。これ、結構曲者です。というのもこの本って実験小説で。この本、使用できる文字を制限しているんですよ。 以前筒井の本で同様の実験をしているけど(知っているでしょ)、この本でもいっしょ。そして西尾のケースもそれに似ている…

こんな胸キュンなストーリーが昭和にあったなんて「七時間半」(獅子文六)

こんな本をちくま文庫は復刊させるんだから好き好き大好き超愛しているってなるんだよ。『七時間半』 獅子文六作者は獅子文六。昭和を代表する大衆作家である(今のエンタメね)。まずちくま文庫に感謝。こんなキュートで楽しい小説が残っているんだから昭和…

脱帽するとはこういうことだ「夕荻心中」(連城三紀彦)

なんだかんだでミステリがルーツだ。 SFにもふらふらしホラーにもふらふらし実験ブンガクもにやにやし、青春小説や純文学にもにへらと笑うけど結局戻るのはミステリだ。 あれだ、最後は母親の作ったカレー的な。 小学生のころ辻真先を赤川次郎を読んでどっ…

たまには少年の気持ちで「車のいろは空のいろ」(あまんきみこ)「くーねるまるた」(高尾じんぐ)

漫画「くーねるまるた」(高尾じんぐ)に夢中である。 僕はもともと食事系の漫画に弱い。「花のズボラ飯」「ラーメン大好き小泉さん」「ワカコ酒」「幸腹グラフティ」「孤独のグルメ」「駅弁ひとり旅」「酒のほそ道」「クッキングパパ」・・・いや根っこが食…

ガーリッシュとは・・・「世界小娘文學全集」(千野帽子)

ガーリッシュなアナタに百万本の赤いバラをあげよう。 ↑ お前は布施明か。 さて 僕はもともとオタクの気質があるのかガーリッシュな小説に甘い。というか弱い。まあ何を持ってガーリッシュというかは難しいんだけど(そこのところは突っ込まれると困るんで突…

新潟にある巨大仏「親鸞聖人像」

新潟は中条の駅に降り立つ。 ここにはなんともどうでもいい巨大仏があるらしい。よっしゃ見てこないと。駅から自転車を借りて30分。結構遠くだがそれは合った。 いたー。 近くに寄ってみる。 うーん顔が怖い。 これ親鸞聖人らしい。空海の大仏は各地で見る…

流行ってわけでないけど「火花」又吉直樹

実はけっこう前に文學界で読んだのだが・・・その時は立ち読みで読んだためだいたいなラインしかつかんでなかった。 で、ちゃんと読もう、ちゃんと読もうと思い、購入。ちゃんと読んだのですけど まず結論。芥川でもおかしくないぜ。 『火花』又吉直樹 僕は…

癒される~「ニコタン」

新潟は新発田の駅を降りててくてくと30分(結構あるんだけど)。 そこにこれはある。 にっこり笑顔のガスタンク。ニコタンである。さあ近くに寄ってみよう。 慈悲溢れる笑顔にこちら側も自然笑顔になる。 近く過ぎると何が何やらだけどね。 新潟に行った際…

動物を飼うってことです「犬を飼う」(谷口ジロー)

僕は動物が好きです。 ネコが好き、犬も好き。まあ爬虫類も好き。 でも好きだけでは飼えないのが動物だったりします。だって必ずっていっていいほど 動物のがぼくたちより先に死にますから。 でもそのことを受け入れて僕たちは動物を飼うのではないかなと思…

読みやすさの素晴らしさ「ガール」(奥田英朗)

奥田英朗は手練れである。 特に群像劇を描かせると上手い。正直ホームランこそないものの確実にヒットを売ってくる。安定感アリアリである。だから安心して読めるのだ。 さらに少しだけ「優しい」のもいい。あの「ララピボ」ですら僕は優しいと思った。だっ…

実験くん~「女子中学生の小さな大発見」(清邦彦)

仕事で中学生に教えていますけど、たまに「よくそんなこと思いつくな」って時もあるんですよ。僕だけではなかったのね、思いついたのは。『女子中学生の小さな大発見』清邦彦 身の回りの疑問と感動から「理科」は始まります。なんとも言えないくらいクスッと…

酩酊気分で「ぽん酒館」

越後湯沢駅を降りるとすぐにそれがある。 「ぽん酒館」 いろんな酔っ払いがお出迎えです。 今日も酔って寝ちゃったよ。 さあ中に入ろう! ここでは500円で日本全国のぽん酒をおちょこ五杯、試飲できるんです。どれにしようかな。迷う~。 まずは甘口。 酒…

たまらなく80s「永遠の放課後」(三田誠広)

世代というものがあります。懐かしさは人それぞれ。僕なんかはバブル絶頂期に高校生だったんですが(まったく浮かれ八兵衛な感じだよ)、その少し上の世代ってのは結構中途半端な世代なのかなとも思うんです。団塊の世代には程遠い。なんにでも「俯瞰でみる…

解釋いろいろ「不思議な国のアリス」(ルイス・キャロル)

『不思議な国のアリス』ルイス・キャロル いやぁ、実に30年ぶりだろうか読んだのは。角川文庫版「不思議な国のアリス」。翻訳はあの福島正実(早逝したSF作家である)。挿画はおなじみ和田誠先生だ。 まず和田先生の挿画がふんだんなんで嬉しい。でもア…

少女小説にしてミステリー「ルピナス探偵団の当惑」(津原泰水)

そりゃ津原ですがな。 というわけで津原ですよ、津原。なに知らない?まあじゃんほうろうきか?それはサイバラ。こんなものくえーん!それは海原。ジャニーズ辞めた・・・。それは君はバラバラハートは赤いバラ・・・ ・・・生まれてすいません。 津原です。…