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本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

ここぞとこきおろし「作家の値うち」(福田和也)

いや批評家ってのはつくづく凄まじいよねえって話しですよ。

まず、世の中の本をこれでもかで読まなければいけない。ここまではわかるわかるぜ。で問題はそこから。それだけ読んで文壇にもある程度自分の立ち位置ができるということは作家の先生と仲良くなるってこともあるんだろうなと思う。でもそんなの関係ねえんだ。仲良くなった作家の先生の作品だってこれでもかとぶったぎる。

そのあと気まずくないのかしらん。

でもそれが批評家の仕事。それそれそれそれとぶった切る。ここで大事なのはただただ切るだけではダメ。これは駄目、でもこれはいいという見事なる「批評眼」がなくてはいけない。さらにぶった切るだけでなくて見事なるロジックと藝がなくてはいけない。

いや凄まじき世界だよね。

個人的に信頼している批評家というと


大森望(SFやとんでもミステリではとくに信用している)
杉江松恋(僕と趣味が似ているので)
平岡正明(もはや鬼籍に入ってしまわれたけどね。うねるような文章が大好き)
千街晶之(なんだかんだでしっかりとした批評だと思う)
巽昌章(SFではこの人は欠かせない。特にサイバーパンク

逆に信頼してないのは
新保博久(偏りすぎなような気がしている。批評家というより単なるミステリ好き)
北上次郎(どうも判官贔屓

あ、アヤツジと有栖川の批評(というか太鼓持ち記事)は全く信用していません。



で、今回の作者のことは結構信用している(多少保守っぽい言動にうーんとなるけれど)



福田和也『作家の値うち』

約700作もの純文学、エンタメを点数化して批評してしまうという暴挙(100点満点)。当然点数は良い物悪い物あり。もう悪い物に対するこき下ろし方とかなんともマジかよーーって思うくらい。いやいや批評家はこれぐらい過激でええのよ。

良い点数の作品は純文学だと
村上春樹「ねじまき島クロニクル」
小島信夫抱擁家族
高橋源一郎「さようなら、ギャングたち」

などなど。高橋源ちゃんが入っているじゃーん。

エンタメだと
山口雅也「生ける屍の死」
笠井潔「哲学者の密室」
栗本薫グイン・サーガ

など。これらが90点を越える。個人的には笠井の最高傑作は僕も「哲学者の密室」だと思っているので嬉しいことこの上ない。

あと80点代で
アヤツジの「時計館の殺人」、花村萬月の「笑う山崎」、島荘の「異邦の騎士」、連城の「戻り川心中」なども入っている。同感。やったね。




で、ここからはこき下ろし。これがもう酷いのよ(大好きだけど)


真保裕一・・・生真面目な人なのだろう。本当によく調べている。でも面白くない。
佐藤賢一・・・文章が幼稚であり人物の作り方が安易すぎる。
椎名誠・・・エッセイの骨法を脱しておらず小説と呼ぶに値しない。
鈴木光司・・・彼の人気こそが「ミステリー」でもあり「ホラー」でもある。
藤原伊織・・・すみからすみまで自意識過剰に由来する妄想の産物である。
船戸与一・・・どこかできいたようなイデオロギー落合信彦的与太話。
渡辺淳一・・・渡辺の作品がベストセラーになっていることをして日本人の退潮・堕落とみなすものはすくなくない。


でもわかる~。

本の批評なんかもっとひどい。

丸谷才一「女ざかり」・・・題名からして、救いようがなく低劣である。
高橋源一郎ゴーストバスターズ」・・・恥知らずの一言。
藤原伊織「テロリストのパラソル」・・・全共闘世代の妄想がてんこ盛りになった作品。
よしもとばなな「不倫と南米」・・・アルゼンチンに取り巻きたちといってでっち上げた小説。その経緯が作中に取り込まれているのは誠実なのか厚顔なのか。



面白い。とにかく福田の面白さは歯に衣きせぬばっさばさ感にある。その点では豊崎女史も及ばないと思っている(豊崎女史はまだ守るものがある)。丸谷の「女ざかり」に関してはとーーーーっても同感。売れているとき「なんでこんなダサい本をみな読んでいるんだ」と思ったりして(と言いながら当時は自分がおかしいのかと思い結局読んだのだが)。



いやこれ2作目なんかもあるのかしら。最近の作家(有川や万城目、舞城なんか取り上げてほしいものだ)の評価も読んでみたい。これを読むと点数の良かった作品だけでなく悪い作品も読みたくなってしまう不思議。これぞ批評家の技なんだろうなぁ。





ちなみに僕が最近読んだ作品で点数の低いBEST。

友成純一「ナイト・ブリード」  いきなり話しが終わる。少年ジャンプか!
浦賀和弘「ファントムの夜明け」 ただの自慰。延々と自慰を見せられる。
太田光「幻の鳥」 文章が下手すぎる。これで芥川が取れるなら世の中芥川受賞者だらけである。
桜庭一樹「伏 贋作里見八犬伝」 プロットめちゃくちゃ。得意の自分語りばかり。
渡辺淳一「エ・アロール」 学べることころは何もない。こんなでも銀座ならモテる。

この5つの作品は幸福の科学が出版している「フビライハーンの霊言」より下である。

 

 

作家の値うち

作家の値うち