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本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

こんな胸キュンなストーリーが昭和にあったなんて「七時間半」(獅子文六)

こんな本をちくま文庫は復刊させるんだから好き好き大好き超愛しているってなるんだよ。

『七時間半』 獅子文六

作者は獅子文六。昭和を代表する大衆作家である(今のエンタメね)。まずちくま文庫に感謝。こんなキュートで楽しい小説が残っているんだから昭和文学はやめられない(ちなみに僕は1960から70年代の映画も好き。そう高島忠夫フランキー堺が全盛の頃である。実はこの作品は映画化されていて、主演はフランキー堺。そしてヒロインは団令子が演じている。やべえ見てえなぁ)。

舞台は特急ちどり。まだ新幹線が開通してない1960年の話しである。ここで客室時乗務員たちが演じる恋の鞘当て。そう、この物語は昭和に書かれた素敵素敵なラブコメディなのである。

あああ、有川なんか読んでいる場合じゃねえぞ。

登場人物を紹介しよう。

主人公。矢板喜一。世界に羽ばたくコックになる夢を描く食堂車の若きコック。

この男に二人の女が言いよる。

藤倉サヨ子。食堂車の給仕を務める責任感の強いウェイトレス。彼女は喜一に逆プロポーズをする。私と一緒に大阪の食堂を切り盛りしてくれ。彼女の実直さ、まじめさに萌えるのよ。今なら綾瀬はるかがいいなぁ。

そしてもう一人はちどりガール(飛行機のフライトアテンダントと同じ)の今出川有女子。彼女は子爵の出身で高慢なビッチタイプ。うーん、奈々緒あたりにやらせたい。実は彼女は三人の男に言い寄られているがそれをするりするりとかわしていく。

言い寄る三人。岸和田太市は大阪のエロオヤジな社長。財力の力で有女子をたらしこもうとする。甲賀恭夫は東大大学院のマザコン学生。彼は有女子に思いを寄せるがいつもママと一緒。まったくどうしようもないチキン。そして結核患者の佐川英二。若きイケメン。彼は結核が治り、それをきっかけに有女子にプロポーズする。

さらには謎の女伊藤ヤエ子、時の首相岡、組合活動に熱心な田所、物わかりの良い上司広田などをのせ特急ちどりは進む。

そう、ちどりはまだ新幹線のなかった時代に東京ー大阪間を七時間半で進むのだ。そしてその七時間半に胸キューンなエピソードがそこかしこなのだ。

いやね、なんて言っても有女子女史。普段高慢ちきな感じの癖に実は弱気、実は臆病。いやん、そこにキューンときちゃうじゃん。最後なんか僕は主人公のサヨ子より有女子萌えですよ。

そして恋をしたりしなかったり。言い争ったり嫉妬したり。いやーん、これぞ昭和の小説。あのね、最近の小説と違ってさりげなく抑制があるのよ。そこがイイ!可愛い!萌え死ぬ!有女子ファイトである。

まあ主人公はサヨ子だけどね。

そして文章が生き生きしていること。ええ?これほんとに昭和?しかも1960年ってまだ東京オリンピックの前だよね。なんかそのころの人たちの鼓動が聞こえてくるようだ。イイねイイね。僕は好きだなぁ。

何にもまして昭和にこんな本が書かれていたことにバンザイでしたよ。僕は今回獅子文六初めてだったけど他の本も読みたくなって仕方ないぞ。調べたらちくま文庫で結構復刻している。いやー、文六ファンになっちゃうよ、おいら、ブラヴォー!

 

七時間半 (ちくま文庫)

七時間半 (ちくま文庫)