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本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

宮部はやっぱり面白い「蒲生邸事件」(宮部みゆき)

本を讀んだよ ま行

宮部みゆきってどう思います?

彼女のラインナップでいうと

火車」「理由」「模倣犯」などのがっつりミステリ系
クロスファイア」などのSF系
「ぼんくら」「震える岩」の様な時代小説系

と分けられると思うんだけど(それプラス「マサシリーズ」や「今夜は眠れない」のようなハート・ウォーミング系、「RPG」のようなファンタジー系もあり)

まずミステリ畑からの発言
「ええ、宮部のミステリ。ちっち、あれをミステリといってもらっちゃ困る。まずトリックがありきたり。しかもトリックと言えるものですらないときもある。犯人も定番だしそこもたいしたことない。まあ僕に言わせれば宮部のミステリはミステリではないよ。あれはサスペンス。まったく宮部読んでミステリだと思われたら困るんだけど」

SF畑の発言
「あれがSF?ただ目から火だすだけじゃん。しかも科学的な言及もないし。さらにはタイムパラドックスも深く追求してない。そもそもSFは思弁的でなければいけないのに宮部は安易にそこをメロドラマにしてしまう。僕はあれをSFとは認めないよ」

時代小説畑の発言
「宮部はちゃんと時代考証を考えているんだろうか。そもそもその時代に誰がいたか、何をしたかってのはしっかり裏を取ってから書くものだ。池波先生を見ろ。時代小説を書くにはその10倍、いや100倍の資料が必要だということを宮部は分かっているんだろうか」





・・・・・・・


どっかあああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!(「告白」風に)


というマニアの発言がはずかしくなるくらい宮部は面白いんだよ!なんだよ!本は面白いから読むんじゃないの?たしかに「火車」はミステリとしは中途半端だよ。でもどきどきしたじゃん。すげえじゃん。多重債務の怖さを肌で感じるじゃん。たしかに「クロスファイア」はベタだよ。あーやっぱりなぁって展開だよ。しかもなぜそんな能力があるかは書いてないし。でも泣いたじゃん。泣けるじゃん、最後は泣きながら読むじゃん。じゃんじゃんじゃん。

そう宮部はジャンルうんぬんなんかは関係なく「ただ面白い」だけを追求してきた作家なんだ。だからこそマニアにはうーんと言われるけど面白さは折り紙つきなのである。そしてその面白さの前ではいままで批判していた自分が恥ずかしくなってしまうんだ。

そして宮部は読書の楽しさを信じている。だから長くなる。長くなる。大作宮部主義。その長さこそ宮部は「ほら、読んで読んで。読んですべてを忘れちゃいな」そう語りかける。長い長い読書。

これ、面白かったよ~。

『蒲生邸事件』宮部みゆき

すげー。

SFだよ
時代小説だよ
ミステリだよ

全部入っている、これでもか御特用な作品である(コストコ並みだ)。

そしてそのどれもが見事に融合しているのが面白いじゃない。キャラも立っているし。

僕としてはカジシンのハートウォーミングタイムスリップに有栖川の密室ミステリが重なり、更には横山の近代小説が入ってきたような感じだよ。それを全部足して三で割ってない感じ。どんだけサービス旺盛やねん。

いや、もう終章にやられるのね。そうくるの?そうくるの?そっかーーーーーーって。ああ、もうこの展開にメロメロ今井メロなんです。そうか、やっぱタイムスリップはそうこないとね。最後のまとめ方が見事である。

全部で500ページを優に超えるけど面白さは折り紙つき。なんでいままでよまなかったんだろうなぁ。反省でした。

 

蒲生邸事件 (文春文庫)

蒲生邸事件 (文春文庫)