本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

タイムスリップには甘目です「つばき、時跳び」(梶尾真治)

僕はどうもタイムスリップものに弱いんです。

ハインラインの「夏への扉」も大好きだしマシスンの「ある日どこかで」もいい。日本なら北村の「スキップ」も好きだし、荻原浩の「僕たちの戦争」も大好きだ。戦国自衛隊なんか何度見てもなくし、ドラえもんではのびたが結婚するしずかちゃんとお父さんが話すシーンは永遠の名シーンだ。あの盆暗作家、蘇部健一だってタイムスリップ書くと不覚にもぶわっときてしまう。そうそう筒井ならあの永遠のジュブナイル時をかける少女」があるじゃないか。ラベンダーの香りですよ。そうだ、「まどマギ」だってタイムスリップものとしてはとっても良くできている

今回はぶわっと泣いた。

つばき、時跳び梶尾真治

タイムスリップの梶尾といわれるくらい作者はタイムスリップを自家薬篭中にしているが、これもほんとすごいイイのだよ!

舞台は現代。売れない作家の主人公は井納は祖父の実家である「百椿庵」に住むことになる。そこでは地場が乱れ江戸時代の少女(といっても17くらい)つばきがタイムスリップしてしまうのだ。

まず何がいいってつ清潔なのがいい。梶尾は中学生も書かないような純真さで二人の馴れ初めから愛を語る。もうね、汚いことなんかなに一つないのよ。

でさらにいいのはつばきの純真さ。真摯さ。いいなぁ。アイスクリームを初めて食べてほんのりと嬉しがるつばきの描写に何度足をばたつかせたろう。あのね、梶尾は流石にタイムスリップお手の物だからここでこうしてくれーっていうのが非常に上手なのねん。読んでいてもうぐいっと入らされるのよ。これこそ梶尾マジック。

その後、井納は逆に江戸時代にタイムスリップし・・・まあそこからは定番ながら内緒内緒。梶尾はギミックの使い方も上手でところどころに素敵エピソードを入れ込む。これなんかも読んでいるとぐいっと引き落とされるんだよなぁ。

この話、山本周五郎の「その木戸くぐって」を梶尾なりの翻案にしたような感じなんだけどそこのところはどうなんだろうってふと思ってしまった。梶尾の作品って意外と読まれてないんだけど僕は好きだなぁ。SFはロマンチックだということを改めて確認させてくれる良作です。ほんととってもいい気持ちで読み終わったよ。

これ舞台にもなったそうだけど(キャラメルボックス)みたいなぁ。でも映画なんかでもやってほしいと思わせる良作です。主人公はそうね・・・綾瀬はるかあたりがベスト。あれくらい透明感があったほうがいいかも。




しかしタイムスリップはなんでこんなに泣けるんだろうね。いや全く。ちなみに僕の中でのタイムスリップベストは・・・・(この作品は除く。でも確実にベスト5に入るぜ)

1 七瀬ふたたび(筒井康隆
2 夏への扉ハインライン
3 時をかける少女筒井康隆
4 ドラえもん(おばあちゃんの回。のび太の結婚式の回も捨てがたい)
5 美亜に送る真珠(梶尾真治

こんなところか。広瀬正の「マイナスゼロ」を読んでいないのが一生の不覚。。。。

 

つばき、時跳び (平凡社ライブラリー)

つばき、時跳び (平凡社ライブラリー)