まさかのこのミス一位!「フォア・フォーズの素数」(竹本健治)
竹本さんについて。
まあほとんど読まれていない作家さんに竹本健治がいる。僕の読書友人でも読んでいる人はほんとに少ないのである。
たしかに
作品は一般的に駄目なラインだし
マニアックすぎるし
すぐ黒くなるし
それだけでは飽き足らずグロになるし
血はでるし
臓物はでるし
それでいてリリカルだし(稲垣足穂なみに)
で頭だけで書いているし
妄想爆発だし
でもすきなんだよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!
まあ読書はほんと個人的なものだからね。許してちょーだい(財津和夫)。
まあ好きな理由として
アンチミステリが多いこと
囲碁などゲームが好きなこと
数学も好きなこと
SFなんかも書いてしまうこと
グロ描写もどんとこいなこと
それでいて美青年を書くのも上手なこと
なんですよね。ほらぼくの性向にぴったし(カンカンとは言ってやらない)。
今回の短編集はぼくとしてはサイコーでした。
『フォア・フォーズの素数』竹本健治
もう題名から素数ですよ、素敵じゃないかい。
全部で13個の短編集。いやね、ひどいのも多いの。これ阿刀田高の廉価版じゃーんってものまで。
でもこの短編集にはこれ以上ないくらいの傑作が五つも入っているのだよ。それだけでもいいじゃないの~。残りがどんなに屑だってぼくは許せますよ。
「非時の香の木の実」いやグロすぎ。これ「エロティシズム12幻想」ってアンソロに所収されていて再読なんだけど大好きなんだよなぁ。もう駄目主人公の典型ですよ。そしてグロ描写がこれでもか。竹本はたまに友成ラインでグロくなる。
「銀の砂時計が止まるまで」パーミリオンの猫シリーズの一篇。もうリリカルでたまらない。なんであんなグロ書いた人がこんな抒情をかけるんだろう。いや泣くなぁ、展開に。ちなみに僕はパーミリオンの猫シリーズは一冊しか読んでない。SF好きなら結構必読。
「チェス殺人事件」こんな短いのにアンチミステリなところが最高。実はこれも読んでいるんだけど久々読み返してやはり面白いなぁと思ってしまった。竹本の面白さって普通ミステリはすかっと切れるのに、なんかモヤモヤが残ることなんだよなぁ。
「メニエル氏病」これも読んでいる(笑)。でも大好き。だてトリックがとんでもなさすぎて死ねるレベルなんだもん。とにかくトリックの剛腕、たぶん世界一大がかりなトリック。読むだけでぶっ飛ぶぜ。
「フォア・フォーズの素数」やばいやばいやばい。フォアフォーズというパズルを知っているだろうか。これ四つの4を使って数字を作るというゲーム。例えばゼロなら4+4-4-4という感じ。でこの短編ってこの4つを使ってゼロ~100までを表そうという趣旨なんだけど・・・もうラストのオチが数学好きにはほんとたまらなくて死ねるレベル。いやそこでこうくるかぁって感じ。これだけでも読んでほしいなぁ(でも他の短編はグロとかあって全部を読むとトンデモないことになるという罠)。僕は喝采ブラボーでした。
というわけで今日のブログを読んで「どれ竹本でも読んでみようか」という人が出ることを期待しているのだ。これって布教活動?
とおもったらなんと「このミス」で竹本作品が一位になったという情報を得た。なんてこったい!これじゃ人気がでてしまうでないか。
ひっそりと竹本は僕だけのカスミソウであってほしい・・・と言ったら我が儘かしらん。