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本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

誘拐物です「リスの窒息」(石持浅海)

「お前の爺さんを誘拐した。返してほしければ3000万円用意しろ」
「え!爺さんですか。ありがとうございます。なにせあいつときたら認知症で毎回徘徊、家族はそのたび大捜索。さらにはぼけたフリをして孫のハダカを除くという狼藉。そのくせしわい屋で御金は一切ださないという困ったやつ。そんなジジイ、熨斗つけてあげたいくらい。誘拐ありがとうございます」

なーんてなったら哀しい誘拐事件です。実際には一番「成功しない」犯罪だと言われているよね。だからか最近はあまり起きない感じがします。でもミステリの中では結構な確率で起こるんだよ。

有名どころでは岡嶋二人。まあ誘拐の岡嶋の異名を持つ作家だから誘拐物はお手のものなのかな。「99%の誘拐」なんかメジャーなんだけど自分は実は岡嶋まだほとんど読んでないんだよね。これいけないなぁ。

僕としては法月倫太郎の「一の悲劇」なんかが好き。法月は誘拐ものでもラストにアッと驚きを入れるんだよね。

まああとは天童真の「大誘拐」か。展開が優しいのが人気の理由かしらん。自分はちょっと優しすぎて好きではないんだけど。ただしラストの伏線回収は見事だよ。

あとは真保の「奪取」、歌野の「ガラス張りの誘拐」、芦部の「時の誘拐」、連城の「人間動物園」あたりかしらん(芦辺以外は全部既読)。でもどれもぴんとこないんだよなぁ。誘拐ものって。連城作品なんか僕の中では最低評価だしね。どうも乗り切れないってところがあるんだ。

漫画なんかのがかえって緊迫感あって面白いかも。本宮ひろしの「俺の空 刑事編」はプロファイリングも駆使したなかなかな誘拐物。犯人との緊迫感もありで好き。小説よりこっちのが面白いなんて思ったりして。

そうだ、筒井康隆の「虚人たち」も誘拐ものだ。まあ読んでない人は読んでくださいよ、すげえから。これだけ苦痛な読書は僕はいままでしたことなかったよ。それぐらい読むのが辛かった。ただじゃ評価は悪いかというとこれがまたそうでもないんだけどね。

今日の本は誘拐だ。

『リスの窒息』石持浅海

昼の新聞社に一通のメールが届いた。そこには拘束された女子中学生のファイルが添付され、メールには身代金要求の件と書かれていた。少女を救うために新聞社は誘拐犯と対峙する・・・

まあネタバレになりますけど早い段階で誘拐犯人はわかります。つまりこの本は誘拐犯と新聞社との頭脳戦になるんだけど・・・

どうもねえ。テンポ悪くて読みにくいんだよな。まあ僕が誘拐物苦手だというところもあるんだけど、それでも今までの石持作品に比べるとうーんとなるところがある。テンポの悪さが200ページくらいまで続き、そしてやっと解決。流石に石持なんで最後は「もってくる」けど、そこまでが辛いし薦められないなぁというミステリでした。まあなしだな(切って捨てた!)。

石持お得意の変化球なんで読みたかったらですな。しかしこの石持の最近の詰めの甘さってなんだろう。ここんとこ石持にはガッカリさせられてばっかりだ。これだと読み続ける人減っちゃうぞ(余計なお世話)。




「お前の娘を誘拐した。返してほしければ娘のために3000万円用意しろ。大丈夫だ、その費用は娘の私立の入学金と養育費にあてる。彼女にはワンルームのマンションも用意するつもりだ。食事はケータリングで10年は保障するから安心しよ。お前のようなDV家庭に育つよりも娘は幸せなはずだ。わかったら3000万円用意しろ。彼女を立派なレディとして育ててやる」

それは誘拐でなく保護と言います。

 

リスの窒息 (朝日ノベルズ)

リスの窒息 (朝日ノベルズ)