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本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

ニッチなところを埋める本です「新本格もどき」(霧舎巧)

「さあて憑き物落しをするか」そういうとすっくと立ち上がって自慢のシルクハットを彼は直し始めた。お寺の次男坊でもある彼はビールをぐびぐびと飲みながら犯人に対峙する。N大工学部の助教授でもある彼は前職では英都大学助教授でもあった。見た目は30を超えているのにどう見ても20そこそこにしか見えず黒のロングコートを羽織り、自慢の腹話術を使い、警視庁捜査一課の父と話し始めた。彼は父と二人暮らしである。彼の推理の特徴は直観的帰納型推理法だ。今日もワトソン役の石岡とともに推理する。

何人わかる?(10人いるんだけど)

もう新本格が出て四半世紀。思えば十角館が出たのは1988年。いやいやもはや「新」本格とは呼べなくなっているね。

そうするとこんなのも出てくる。

新本格もどき』霧舎巧

新本格をネタにした霧舎のパロディ連作短編。ただしミステリ部分は意外と正攻法だ。題名を見ればニヤリとくる人もいるだろう。

「三、四、五角館の殺人」→綾辻十角館の殺人
「二、三の悲劇」→法月「一の悲劇」
「人形は密室で推理する」→我孫子「人形はこたつで推理する」
「長い、白い家の殺人」→歌野「長い家の殺人」
「雨降り山荘の殺人」→倉知「星降り山荘の殺人」
「13人目の看護師」→山口「13人目の探偵師」
「双頭の小悪魔」→有栖川「双頭の悪魔」

自分は嬉しいことにこの原典は全て読んでいた。よっしゃパロディ読むには最適やん。

この本凝っているのは題名だけではなく中身も完璧なパロディ。「三、四、五角館の殺人」では家の見取り図が書かれ、「二、三の悲劇」ではタームごとに語り手が変わる。「双頭の小悪魔」では信仰宗教の村が舞台になり、「13人目の探偵師」では展開がゲームブックになる。

どれも読んでいればニヤリなんだよなぁ。

でも新本格読んでない人には何がこれ楽しいのって困ったことになる本である。だから読む人は凄い狭い気がするんだけど。自分はたまたま上記の作品を全部読んでいたからかなりにやりとしたけど読んでないとなんだこれってことになるよ。

また霧舎も読んでない人はほったらかしなんだよなぁ。投げっぱなしジャーマン。ところどころにパロディ入れているんだけどそんなのわかる人って数少ないぜ。ほんと読む人が少ない本だよ。新本格読んでない人は回れ右ってなるもんね。なんだこれーって感じだよ。

さらに霧舎はトリック一流、人物二流、文章三流なんで読む人は辛くなる。まあこれは霧舎の本では定番だからね(「カレイドスコープ島」なんか読むとそれはよーくわかる)。ううん微妙。困ったもんだよ。

 

新本格もどき (光文社文庫)

新本格もどき (光文社文庫)

 

 






しかし四半世紀も経っていれば新本格ももう古典の域だね。まったく。そりゃーアヤツジも50代だもんなぁ(しみじみ)。

最近アヤツジの髪って薄くなったと思いません。そりゃーアヤツジも50代だもんなぁ(あらためてしみじみ)