本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

定番だけど好き「マンゴー・レイン」(馳星周)

授業中の一コマ。

けっこうかわいい女子生徒が一言。
「先生、あたしヒニンしてないんです」

ええ、お前なにを言いだすの?ってか授業中にいきなりそんな相談?ってかお前中学生だろ?ダメだ不純異性交遊は?いや今の時代にそれは古いか。。。でもヒニンはしないと責任というものがあってな・・・いやコンドームは買いなさい。いやいや相手は誰だ。お前とヒニンしない相手は?というかなぜここで俺にその相談・・・

猛烈に頭を回転させるオッサン先生。この間わずかゼロコンマ7秒。

「この問題は比で解くんですよね」

ああ・・・「ヒニンしてない」でなく「比にしてない」ね。良かった・・・

こんな盆暗な授業をしています。オッサンです。

で今日の本はヒニンしてないブラックノワール

『マンゴーレイン』馳星周

久々に読んだねえ、馳。

舞台はタイ、バンコク。メイは中国から攫われた美人娼婦。彼女はいきなり娼婦として叔母に売られ働かされることになった。当然ヒニンなども行われず、若くしてエイズのキャリアになってしまった。彼女は全ての男を恨む。

そんな彼女がある客の老人から仏像を受け取った。そこには旧日本軍の残した財宝の地図が。彼女は人生の奪還をかけ、宝を取り戻そうとする。

って・・・仏像から旧日本軍の宝って・・・ルパンかよ!いまどきそんな話を書いてしまう馳に吃驚。おいおい陳腐すぎねえか。

って思っていたんだけどそこは馳ならでは。メイの案内役を引き受けた十河(タイで生まれた日本人)とともに二人は人生の奪還を目指す。その展開がだんだん嵌っているんだよね。

基本、馳なんで暴力満載、死ぬシーン満載、リンチ満載、エロ満載。よしこう来なくっちゃ。しかしブラックノワールを書く作家は馳といい花村といい新堂といいなぜこんなに文章が陳腐なのかしら。もう定番の節回しに苦笑である(でもだんだんその節回しがないと面白くないと感じてしまうのが不思議。まあここはマジック)。

日本軍の宝を追い求めるヤクザ、軍隊などもでてきで事態は三すくみ四すくみ。もうぐっちゃぐっちゃでございます。

そして最期に馳はとっておきの悲劇を用意する。ここが陳腐だけど泣ける。ああそう来たかと。これぞノワールと思い、陳腐だ陳腐だと言っているのに最後は拍手喝采でした。満足かって満足ですがな。おなかいっぱい。

僕は馳星周花村萬月新堂冬樹は日本の三大ノワールだと思ってます。馳を読んだことないなら処女作「不夜城」をおすすめしますよ。これなんだかんだでいいんだから。

 

マンゴー・レイン (角川文庫)

マンゴー・レイン (角川文庫)

 

 







フロイトによれば自分の欲求不満が他者の発言を都合よく性的に解釋するそうです。

滝に打たれてきます・・・