お酒は少しで「飲めば都」(北村薫)
お酒の本というといろいろあるよね。どの本もお酒を実に美味しそうに飲んでいる。なるほどっそうやって飲むのかとしみじみ。あまり飲めない自分には羨ましくなってしまうなぁ。
漫画だと最近一押しの「ワカコ酒」やラズウェル細木の「酒の細道」。そうそう二宮知子の「平成よっぱらい研究所」なんかも面白い。あれ読むと酒飲みってほんと阿呆だぜ(尊敬の念をこめて)。
ミステリだと西澤保彦のタック&タカチシリーズか。あれビールが実に旨そうなんだよな。酒のつまみだと北森鴻の「バー香菜里屋」シリーズなんかもいいねえ。あれはついついつまみが旨そうで困る。
で こんな本も。
『飲めば都』北村薫
実に北村らしい清涼で清潔な物語。でも肩の力抜いているところが実にいい感じだ。
主人公は雑誌の編集者、都。彼女は毎日酒を飲み仕事に励みそして恋愛をする。取るに足らない物語だが北村の筆が上手いのでついつい読んでしまうのよ。
さりげなく落語の素養があるのもいい。飲み屋であと半分だけってシーンがあったがこれは落語「もう半分」のパロディ(だと思うんだけど)。そこらへんをさらっと入れるから北村の本は(知っていると)さりげなく面白くニヤリなのだ。
ただあまりにも清潔すぎるので宮木あたりを読んだ後に読むと「おいおい、ガキの恋愛じゃないんだから」とついつい突っ込んでしまうけれどそこはご愛嬌だ。北村にえぐさを求めてはいけないだろう。ここはニヤリと笑うのがルール。まあそれでも飲みすぎてのパンツのくだりはあまりのステレオタイプにちょっとしらっとしてしまったが。
するするっと読めてしかも後腐れなし。悪酔いなしのへへんな本だ。僕はベッキーシリーズよりこっちのが好きだなぁ。
最近は少しだけ晩酌をする。酒とちょっとのおかずで満足。ゆっくり食べてちょい飲んで。年取ったなぁと思います。しみじみ。