本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

かぢいくんのこと「檸檬」(梶井基次郎)

かぢいくんは散歩が大好きです。とにかくそこらへんをづいづい歩きます。

「檸檬」では京都を
「城のある町」では松坂を
「泥濘」では東京を
「路上」では散歩して転ぶまで

づいづいづいづいづいづいづい

散歩しかすることがないみたいです。有吉散歩に出れば確実にレギュラーはとれたでしょう。

そして散歩の途中で買い物するのも大好きです。

「八銭のパンを買って十銭で釣り銭をとったりしてしきりになにかの反抗をしめしていた」

いや何の反抗でしょう。十銭持っている俺えらいということでしょうか。たまにかぢいくんの思考回路に疑問がはしります。

このあとかぢいくん銀座ライオンでビールを飲み、なぜか小物屋で石鹸を買います。かぢいくん、ヒルナンデスばりな東京散歩です(以上「路上」)。

あとかぢいくんは妄想も大好きです。

すぐ桜の木の下には死体が埋まっているとか謎なことを言い(「桜の樹の下には」)
丸善では檸檬が爆発するとか言い(「檸檬」)
崖から落ちることを想像し(「ある崖上の感情」)
ネコの爪を切ったらどうなるだろうと夢想します(「愛撫」)

たぶん、かぢいくんは中二病をこじらせているのでしょう。だから妄想ばかりで自分からは何もできないんです。

その証拠に「城のある町」では美人な義姉がいるのにかぢいくんは何もしません。SODなら絶対にこのあと二人は見つめ合ってそして〇〇して××して△△するのにかぢいくんはしないばかりか義姉の娘のほうにシンパシイを感じています。

そう、かぢいくんは中二病なだけでなくロリコンなんです。叔父であることをいいことにこの少女(勝子)を何度もぎゅうぎゅう抱きしめます。さらに勝子がおぼれたときは裸でぬれねずみな勝子を見てにやにやしてます。さらには勝子が他の子どもと遊んでいるのをいつも蔭からぢっと見つめています。

怖いぞ!かぢいくん!

きっとかぢいくんが現代に生きていたら秋葉原メイド喫茶の常連になっていたと思います。いやAKB劇場の常連でしょうか。あるいはアニメイト・・・・

かぢいくんは文章も下手です。すぐびっくりマークを多用します。困ったらびっくりマーク。悩んだらびっくりマーク。びっくりしてなくてもびっくりマーク。たぶん文章が格好つかないんでびっくりマークを使うんでしょうね。

小説の終わらせ方もダサすぎるくらいダサいです。短編の終わりには会話文を使います。

「子猫よ、後生だからしばらく踏み外さないでいろよ」(「愛撫」)
「彼らは知らない。病院の窓の人々は崖下の窓を。崖下の窓に人々は病院の窓を。そして崖の上にはこんな感情があることをー」(「ある崖上の感情」)
「課せられているのは永遠の退屈だ。生の幻影は絶望と重なっている」(「筧の話」)

ええっと高校文芸部の同人誌でしょうか。これ大人になってみたら完全なる黒歴史だとい思うんですけど。書いてから10年後、子供も産んで普通の家庭を築いたあと、ふとこの文章を読んだらばきっと恥ずかしさで発狂しお尻に東スポを挟んでフラメンコを踊ってしまうでしょう。間違いありません。





結論です。


かぢいくんは

散歩好きで
妄想好きで
美少女好きで
中二病

病人です。

でも、かぢいくんが嫌いかと言われると僕は好きなんですよ。たぶん。





新潮文庫版『檸檬』梶井基次郎

 

檸檬 (新潮文庫)

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