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本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

たまには少年の気持ちで「車のいろは空のいろ」(あまんきみこ)「くーねるまるた」(高尾じんぐ)

漫画だよ 本を讀んだよ あ行

漫画「くーねるまるた」(高尾じんぐ)に夢中である。

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僕はもともと食事系の漫画に弱い。「花のズボラ飯」「ラーメン大好き小泉さん」「ワカコ酒」「幸腹グラフティ」「孤独のグルメ」「駅弁ひとり旅」「酒のほそ道」「クッキングパパ」・・・いや根っこが食いしん坊なんであろう。とにかく食事の漫画は結構読んでしまうのだ。

でこの本。


主人公のマルタはポルトガル人留学生。貧乏な彼女が作る食事がどれも美味しそうで涎ずずずって成るんだけど。

ただこの本の面白さはそこだけではない。

彼女は日本文学も好きで(とくに児童文学)、ところどころで食事と絡めて日本文学がでてくるのだ。

井上靖の「しろばんば」のらっきょうのシーンからカレーがでてくる。
今江祥知の「山の向こうは青い海だった」を読みながら鯵ごはんを炊く。
西村繁男の「夜行列車」を読んで上野に食材を買いにいく。
新美南吉の「ごんぎつね」を読んで油揚げ入りのごはんを炊く。
高村光太郎の「智恵子抄」を読み、そのまま梅酒で一杯。

どれも懐かしくて懐かしくて腹が捩れるほどだよ←使い方間違え。

 

 

そしてこのマンガではあまんきみこについても書いてある。

 

 

 

懐かしい!あまんきみこだ!小学生のとき一生懸命読んだよ。親にせがんで買ってもらっらよ、ポプラ社文庫。ほんと懐かしい!読みたい!読みたい!あまんきみこが読みたい!

と思い、アマゾンでポチリ。

届きましたがな。

『車のいろは空のいろ 白いぼうし』あまんきみこ


「これはレモンのにおいですか?」
「いいえ、夏みかんですよ」

久々に読んでみてそっかこんなにファンタジー色つよかったっけと吃驚。タクシー運転手松井さんが遭遇する不思議な事件の数々。けっしって一つ一つの出来事は派手ではないけれどなぜかこころをうつんだよなぁ。

読んで驚いたのはあまんさんは結構いろんな文章の書き方をしているということ(言語実験と言ってもいいかな)。改行で台詞が模様になっていたり、文字のフォントを小さくすることで声が小さくなるところを表現したり。あるいは文字をゴシックにすることで声が大きいことを表現したり。

漫画ではあたり前の技法だけどこれを小説でやるのは楽しいなぁ。子供たちがすぐわかるような気遣いがそこかしこに見られるんだ。

そしてさりげなくメッセージも添えられて。「すずかけ通り三丁目」では戦争の怖さをさりげなく表現、「くましんし」では自然破壊とそれに伴う考えを「押しつけがましくなく」するっと入れる。ここらへんはあまんさんの平衡感覚の上手さ。

当然物語も面白い。いつの間にかきつねの国に入ってしまう「本日は晴天なり」は落語の一眼国であろうか。きつねの国に行けばしっぽがないのが「普通じゃない」んだよ。

表題作は一篇の絵を見ているかのよう。白いぼうしの中に夏みかんが入っているのだけでも絵にかいたら映える気がするんだよね。情景がまざまざと。

挿絵は北田卓司(いわさきちひろではなかった)。この朴訥な絵も楽しい。こんなカラーページもあったりして。
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こころ洗われてほっとする。マーマレードのジャムでパンを食べたい。