動物を飼うってことです「犬を飼う」(谷口ジロー)
僕は動物が好きです。
ネコが好き、犬も好き。まあ爬虫類も好き。
でも好きだけでは飼えないのが動物だったりします。だって必ずっていっていいほど
動物のがぼくたちより先に死にますから。
でもそのことを受け入れて僕たちは動物を飼うのではないかなと思うんです。彼らの死さえも受け入れて。それができないのなら僕は動物は飼ってはいけないと思うんです。だってそれは単なるわがままでないですか。
死ぬということは綺麗事だけではありません。その過程で僕らはいろんなことを学びます。彼らの苦しさに最初は共感し、でもなんで自分がなんてことも思い、更には少し面倒になり、こんなことなら飼うんでなかったとまで思ったりして、でも
悲しくて悲しくて悲しくて
それが「飼う」という行為なのかなと思います。
『犬を飼う』谷口ジロー
漫画です。飼い犬のタムが年老いていき亡くなるまでの姿を丁寧に書き綴っていきます。谷口はきれいごとだけは書きません。
タムが死ぬ数か月まえから足腰が弱ってきたこと、粗相もするようになってきたこと、そして飼い主がそれに対して「面倒だな」と思うことまで谷口は描きます。
このマンガは決して綺麗な漫画ではありません。まして楽しくもありません。しかし心はうたれます。生きていくことはこんなにも気高いんだとふと思ってしまうんです。
沼田まほかるの「猫鳴り」が猫の死を丁寧に描いた小説だとしたら、この「犬を飼う」は犬の死を丁寧に描いた本です。どちらも僕が大好きな本だということは言うまでもありません。
どちらの本でも、僕はその「気高さ」に涙します(涙するなんて陳腐な表現で申し訳ありません。でも本当に涙するんです)。
そして生き物を飼うということはその生き物の「イノチ」を飼うことなんだと再確認するんです。