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本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

やっぱ山風だよ「海鳴り忍法帳」(山田風太郎)

 というわけで山風。僕は山風だけでごはん三杯いけてしまうほど山風好きなんですが(注:山田風太郎のことですね)、みなさんいかがですか。

ええ、読んだことない?そうでしょうねえ。

ええ、売ってない?そうでしょうねえ。

ええ、誰だ?そうでしょうねえ。

というわけで鬼才中の鬼才ですけどあまり読んでいる方がいないのよね。で、読んでいる人はコア中のコアな人だし。基本、イスラムシーア派の様な感じですよ。

で、山風というと大きくわけて3つある。

まずは本格ミステリもの。

有名なのは「虚像淫楽」あたりだけどとにかくトリックがとんでもなくてふっとぶレベル。僕は山風ミステリだと「妖異金瓶梅」が大好きなんだけど、とにかく大胆すぎるんだよね。「十三角関係」なんかも好きだなぁ。だいたいタイトルがいかしているじゃないですか。十三角とは大きくでたぜって感じなんですよ。

そして明治もの。

これは僕も一番読んでないかなぁ。明治の風俗をネタに人間なんてケセラセラな感じを実に飄々と描くんだよね。「明治波濤歌」とか「警視庁草子」なんかがそうかな。ここのラインの山風は僕の老後の愉しみですよ。

そして忍法帳。

そうだよ!山風と言えば忍法帳。僕は「甲賀」「くノ一」「外道」「八犬伝」「風来」あたりが大好き。とにかく奇妙奇天烈テケレッツのパァな感じ。それでいてこの虚無感はなんだって感じなんだよね。もう僕は好きすぎて仕方ないんだけど・・・

で久々に忍法帳で読んでないのを見つけましたよ。うおおおお、これこの古書店にあるんだって感じ。ありがとう西荻窪

今日の本は・・・

『海鳴り忍法帳』山田風太郎

いつもだととんでもない忍法が出るんだけど今回の忍法帳は少しばかり変化球。主人公は鉄砲鍛冶の美青年。彼は種子島に伝わった鉄砲を改良し、連射式の鉄砲と作り出す。奇妙な技を繰り出す忍者たちも彼の近代兵器にあっという間に負けてしまうのだ。

あのね、ここらへんは風太郎の本領なんだよね。たぶん、二次大戦で兵器の凄まじさを風太郎は目の当りにしたんじゃないのかね。だからどんなに体鍛えても所詮、鉄砲の弾一つで死んでしまうんだよというなんという無常観。圧巻は2ページにわたって忍法の説明があった忍者たちが簡単に鉄砲でけちらされるところだ。死ぬのもだいたい1行で終わる。死の尊厳もへったくれもなく、兵器の無情さをぐいぐいと書く。

今回は愛に殉ずる女、愛ゆえに裏切る女と女の描き方も珠玉。ここらへんの無惨絵も山風は上手いんだよねえ。「柳生忍法帳」でもそうだけど山風の描く悪女はどこか「優しさ」がある。これは山風が奥手であったこととかも関係するのかしら。

最後はほんと映画の1シーンの様な終わりかたで終わる。だれかこれ映画化してくれないかしらん。甲賀もいいけど、こっちもいいぜ。そんなにエログロでもないので(そこは外道やくノ一とは違。R指定くらいでいけると思うんだけどねえ。アニメ化、漫画化でもいいや。せがわもいつまでも魔界転生やってないでそっちもやってくれないかしらん。






僕はとっても満足でした。やっぱ山風だよ。素敵。もっと復刻すべきだと思うんだけどなぁ。

もし今まで山風を読んでなくて読んでみようかしらんって思う人は・・・

忍法帳なら「甲賀忍法帳」、エロ忍法なら「くノ一忍法帳」

ミステリなら「妖異金瓶梅

明治ものなら「明治断頭台」あたりかなぁ(明治ものはもっと面白いのもあるかもしれない)。

ただし、図書館にもほぼおいてないかもしれないという罠。

 

海鳴り忍法帖<忍法帖> (角川文庫)