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本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

2060年くらいにはできるかも「妙なる技の乙女たち」(小川一水)

本を讀んだよ あ行

SF好きなのに「火星の人」を読んでいないで時代に乗り遅れた男です。

ところで男性ってなんで宇宙好きなんでしょうかねえ(女性も?)。あれですか。未知の物を開拓していく楽しさでしょうか。たしかに僕も「2001年宇宙の旅」も大好きだし(もう2016年だよ)、はやぶさの話しには心躍ったし、軌道エレベーターの話しの実現には心躍りますよ。

というか技術的にはできるんじゃないの?軌道エレベーター。物の本ではあと30年後くらいには実現可能らしいぞ。宇宙旅行を気軽にできる軌道エレベーター、夢は拡がります。30年後かぁ・・・74歳。生きているかしら。生きていたら乗ってみたいなぁ。けど値段べらぼうかな。100万くらいなら払ってもいいと考えているのは僕だけかしらん。

というわけで今日は軌道エレベーターにまつわる本です。



『妙なる技の乙女たち』小川一水


一水の意志は垂直だ。

そう、小川一水軌道エレベーターの周辺で働く女性たちにスポットをあてたオムニバス・ストーリーです。

そうなんだ、一水はどこまでも前向きなんだよな。前どころか上なんだよ。その上さ加減が読む者たちをアツくさせるんだ。一水ファンならこれはお分かりかもしれないけどね。以前「老ヴォールの惑星」を読んだときもその「前向きさ」がビンビンと伝わってきたが(最終話「漂った男」は必見)この本でも前向きさは健在だ。

舞台は2050年。赤道直下の宇宙都市リンガでは軌道エレベーターに成功した。この本ではその周辺で働く女子(宇宙服のデザイナーやフライトアテンダント、不動産屋、水上タクシーの運転手、保母、プランナー、彫刻家)をえがく。

まず、仕事に対して持っているものは「矜持」だ。仕事をすることで自分を偽らない、そんな女性がこの本には登場する。これ大事だと思うんだけどね。というか仕事はお金だけだったら何かやっていけないのではと僕もつい思ってしまう。だからか、僕はこの本に共鳴する。

軌道エレベーターのプランナー、アリッサは言う。「軌道エレベーターは宇宙への道だけではないわ。それは地球の人間に大きな選択肢を与えるのよ。ここにいるかあるいは旅立つか」そう言っている彼女が自分の仕事に誇りを持っているのは明解だ。だからこそこの本を讀むと自然と力が湧いている。これは本だけど活力剤でもあるんだ。

どの話も面白かったが(全8話)どれもあまり恋愛が絡まないのもいい。というかすぐ恋愛に持ってくるのはたまに辟易なんだよ(有○浩のことだぞ(苦笑))。小川はそれよりも女子たちの仕事を選ぶんだ。たまに恋愛の話しも出るがあくまで自然。読んでいてほっとする。

ベストは3話目。自分に矜持がある人は見ていて清々しい。そう思ったよ。



軌道エレベーターもそうだしリニアもそうだけど、そこら辺のものってのはあまり「経済効果」関係なしで進めてほしい気もするのだが(そうはいかないかな)。それでどれだけ「元気が出る人がいる」ということなんだから。お金の使い道って理屈だけではない気もするんだけどねえ。寄付しろって言ったら1万円くらいは寄付するんだけど。だって自分の使った金が宇宙へ行く材料になっているってなんかうれしくありませんか。

 

妙なる技の乙女たち (ポプラ文庫)

妙なる技の乙女たち (ポプラ文庫)