年とっても元気いっぱい「こぐこぐ自転車」(伊藤礼)
「いい年なんだから」
この言葉でちょっと損している気がしませんか。
なんか年とるとあれやったら恥ずかしい、これやっちゃいけないってなるんだけど、ホントはそんなの関係ないんじゃないのとも最近思うんですよ。
逆に何歳でも好きなことやっていられる人生ってのはいいもんじゃないの。たった一度の人生。楽しまねば損ですよねえと。
というわけで
今日はいい年してもとっても楽しんでいるおじいちゃんの本。
『こぐこぐ自転車』伊藤礼
どこまでも自転車でひた走る。長野に行き、東海道を渡り挙句は北海道まで。自転車は行くよ、どこまでも。ああ楽しき哉自転車人生。
これを書いたときは伊藤翁は72歳。つまり70超えて長野、東海道、北海道と自転車でひた走っているとこになる。すげえなぁ、伊藤先生。
とにかく軽妙で楽しい。伊藤先生はほんとに趣味人なんだろうな。「狸ビール」では狩猟をし、「ダダダダ菜園記」では家庭菜園に夢中。さらには囲碁なんかにも造詣が深い。そして自転車。
自転車をつぎからつぎへと購入してしまい乗り回している伊藤先生が可愛い。こんな爺さんになりたいなぁ。
そして本作は紀行文としても秀逸。老齢の方の書く紀行文は無駄な感情移入が少なくて楽しいのだ。この淡々さが堪らない。鉄道だと宮脇先生なんかがあるが自転車は伊藤先生か。なるほどね。納得である。
秀逸はやはり北海道一周旅行かしらん。これとっても読み応えあるんですよ。ああ、また北海道行きたくなった。罪だぜ、伊藤先生。
年だからっていってついつい恥ずかしがってしまい何もしなくなるんだけど、いいんじゃないのかな、恥かいても。最近はそう思うんですよ。世阿弥の風姿花伝なんか糞食らえです。生きているうちが華なのよ、死んだらそれまでよ。
ですよね。