ミステリ好きだけがこのむ本「十三回忌」(小島正樹)
本格ミステリ好きに贈る。
まあ、僕の親しい本好きの方でも「本格ミステリ」好きってのはほんと少ない。もともと少ないパイだから当たり前なんだけどね。
海外ミステリ好きの方はけっこう多いし「ミステリ」好きの方も多い。
でも
本格ミステリ好きは少ない(断言)。
まあねえ
脳みそでこしらえた小説だから
詭弁を詭弁で覆す小説だから
人間が書けてない小説だから
展開がもうなんなのっていう小説だから
半分は壁に投げつけたくなる小説だから
なんてね・・・
でも僕は本格ミステリが好きなのさ(また断言)。だから中途半端なミステリを読むとすぐ「良くできているけどトリックが陳腐」とかドヤ顔で語り出す(問題児)。
当然紹介する本はど直球な本格ミステリだーーーーーー!
『十三回忌』小島正樹
読んでどわわわわわ。
はい、密室きたー。
猟奇殺人きたー(なんたって生きたまま木に刺さって死んでいるんだぜ)
田舎の旧家きたー。
連続殺人きたー。
アリバイきたー。
首なし死体きたー。
名探偵きたー。
ああああああああああ
好き好き大好き超愛してる。
この平成の時代に横溝だと。この平成の時代に旧家だと。この平成の時代に連続殺人だと。
警察が盆暗すぎるのはご愛嬌だが。
そしてなんといってもこの作品の凄さは・・・・・・・・(気になる人スクロールするなかれ)。
レッドへリングだよねえ。どわわわわ。最初からあからさまに餌がぶら下がっているんでそりゃ警戒はするんだけどさ、でもそれでも最後の纏めの見事さに喝采。倉知の「星降り山荘」もそうだけど僕はミスリードに弱いんだよねえ。最後をさりげなくタンパクに書き読者に再読を強いる構造も見事だ。うーん、これはミステリ好きがミステリ好きに対して書いた小説だわ。
というわけで大満足。そしてもし読んでなかったらこれおすすめですよ。