本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

題名が悪い?「女囮捜査官 聴覚」「女囮捜査官 味覚」(山田正紀)

名前で損をしているってありません?

大学だとやたら長い名前はFランの感じがするなぁ。

一番は東京農工大。なんか土の匂いが。国立なんだけど。あとは東京工業大もそんな感じがしてやまない。あとはどこだろ。京都工芸繊維大学。これも国立なんだよな。

芸能人だと誰だ?玉袋筋太郎?いたってまともな芸人なんだけどなんたって玉袋だからなぁ。たけし軍団は名前適当につけられているからどうも不幸な気が。玉ちゃんももう50に近づいているのに「玉袋」だもんなぁ。速水もこみちなんかも名前はなんか適当さがあってどうなのって思ってしまう。大体「もこみち」ってなんだよ!

生徒でも名前負けしているってのはあるかも。名前に「麗」や「華」のついている子は全体的にお水臭がする感じだなぁと思ったりして。でもあってみると至って普通の中学生で笑う。




という前ふりが終わったとこで今日は名前で損をしているミステリを紹介。

『女囮捜査官 聴覚』『女囮捜査官 味覚』山田正紀

まず女です。そして囮です。この全体から匂うキオスク日刊ゲンダイ感。どう考えても酔ったオッチャンが新幹線の帰りにでもむふふな小説でも読むかって感じ。

でもムフフなシーンはほとんどないんだよ、これがまた。

これ一部では伝説となった山田正紀本格ミステリシリーズ。僕は既に1作目、2作目、4作目と読んでいたのだけど今回やっとシリーズ全部読み終わったよ。

まずは「聴覚」(シリーズ3作目)。

このシリーズは基本トリックの無駄遣いなのだが(バラバラ、密室など)今作は誘拐。そう来たか!しかも心理戦でもある。

ああ、三作目でこんな感じで変化球を投げるのねと満足。そういえばアヤツジなんかも人形館は変化球だったな(これでミステリ好きはどんな変化球かわかってしまうかもしれない)。僕はこの手のトリックはそんなに好きではないんだけど、それでも満足は出来たなぁ。ラストの犯人が出てくるとこは剛腕でのけぞったよ。

そしてシリーズ最終作「味覚」(5作目)

すげえええええええええええええええ。なんだこの皆殺し感。富野も吃驚なんだけど。本格ミステリを読もうと思ったら「七瀬ふたたび」ばりの大活劇。ああ最後にこんな展開を持ってくるとは山田すげえよ。

そういえばクィーンだってクリスティだってシリーズものミステリのラストではトンデモない展開を持ってきていたけどさ(悲劇四部作やカーテンを読めばわかる)これはその先達に対する山田の「俺はこうするよ」だなぁ。この巻だけはやはり1~4まで読んでから最後に読むべきだとしみじみ。ミステリ的な展開も見事なんだけどそれ以上にこのプロットに痺れてしまった。

山田正紀はこのシリーズを5冊まとめて9か月で書いたらしいけど改めて鬼才だよなぁ。その筆の速さも含めて。

というわけで名前で確実に損をしている本書ですがミステリ魂炸裂です。僕は大好き。






知り合いで「太」という名前の男性がいるがこれが見事な100キロ超級。なるほど、これは名前と見た目が合っている場合。

 

 

女囮捜査官―五感推理シリーズ〈3〉聴覚 (幻冬舎文庫)

女囮捜査官―五感推理シリーズ〈3〉聴覚 (幻冬舎文庫)

 

 

 

女囮捜査官 (5) (幻冬舎文庫)

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