本と珍スポと教育と

本について語ります。珍スポットについて語ります。あとたまに教育について語ります。ゆるゆるとお読みください。

本を讀んだよ

こんな胸キュンなストーリーが昭和にあったなんて「七時間半」(獅子文六)

こんな本をちくま文庫は復刊させるんだから好き好き大好き超愛しているってなるんだよ。『七時間半』 獅子文六作者は獅子文六。昭和を代表する大衆作家である(今のエンタメね)。まずちくま文庫に感謝。こんなキュートで楽しい小説が残っているんだから昭和…

脱帽するとはこういうことだ「夕荻心中」(連城三紀彦)

なんだかんだでミステリがルーツだ。 SFにもふらふらしホラーにもふらふらし実験ブンガクもにやにやし、青春小説や純文学にもにへらと笑うけど結局戻るのはミステリだ。 あれだ、最後は母親の作ったカレー的な。 小学生のころ辻真先を赤川次郎を読んでどっ…

たまには少年の気持ちで「車のいろは空のいろ」(あまんきみこ)「くーねるまるた」(高尾じんぐ)

漫画「くーねるまるた」(高尾じんぐ)に夢中である。 僕はもともと食事系の漫画に弱い。「花のズボラ飯」「ラーメン大好き小泉さん」「ワカコ酒」「幸腹グラフティ」「孤独のグルメ」「駅弁ひとり旅」「酒のほそ道」「クッキングパパ」・・・いや根っこが食…

ガーリッシュとは・・・「世界小娘文學全集」(千野帽子)

ガーリッシュなアナタに百万本の赤いバラをあげよう。 ↑ お前は布施明か。 さて 僕はもともとオタクの気質があるのかガーリッシュな小説に甘い。というか弱い。まあ何を持ってガーリッシュというかは難しいんだけど(そこのところは突っ込まれると困るんで突…

流行ってわけでないけど「火花」又吉直樹

実はけっこう前に文學界で読んだのだが・・・その時は立ち読みで読んだためだいたいなラインしかつかんでなかった。 で、ちゃんと読もう、ちゃんと読もうと思い、購入。ちゃんと読んだのですけど まず結論。芥川でもおかしくないぜ。 『火花』又吉直樹 僕は…

読みやすさの素晴らしさ「ガール」(奥田英朗)

奥田英朗は手練れである。 特に群像劇を描かせると上手い。正直ホームランこそないものの確実にヒットを売ってくる。安定感アリアリである。だから安心して読めるのだ。 さらに少しだけ「優しい」のもいい。あの「ララピボ」ですら僕は優しいと思った。だっ…

実験くん~「女子中学生の小さな大発見」(清邦彦)

仕事で中学生に教えていますけど、たまに「よくそんなこと思いつくな」って時もあるんですよ。僕だけではなかったのね、思いついたのは。『女子中学生の小さな大発見』清邦彦 身の回りの疑問と感動から「理科」は始まります。なんとも言えないくらいクスッと…

たまらなく80s「永遠の放課後」(三田誠広)

世代というものがあります。懐かしさは人それぞれ。僕なんかはバブル絶頂期に高校生だったんですが(まったく浮かれ八兵衛な感じだよ)、その少し上の世代ってのは結構中途半端な世代なのかなとも思うんです。団塊の世代には程遠い。なんにでも「俯瞰でみる…

少女小説にしてミステリー「ルピナス探偵団の当惑」(津原泰水)

そりゃ津原ですがな。 というわけで津原ですよ、津原。なに知らない?まあじゃんほうろうきか?それはサイバラ。こんなものくえーん!それは海原。ジャニーズ辞めた・・・。それは君はバラバラハートは赤いバラ・・・ ・・・生まれてすいません。 津原です。…

子ども向けでも悪意健在「いつか、ふたりは二匹」西澤保彦

なんだかんだで西澤の上手さが際立っているのですよ。 あ、西澤保彦ね。僕は結構(というかかなり)好きな作家さん。でもミステリリーグの人でないとあまり知られていない作家さんでもある。 西澤というと「七回死んだ男」や「チョーモンインシリーズ」のよ…

宮部はやっぱり面白い「蒲生邸事件」(宮部みゆき)

宮部みゆきってどう思います? 彼女のラインナップでいうと 「火車」「理由」「模倣犯」などのがっつりミステリ系 「クロスファイア」などのSF系 「ぼんくら」「震える岩」の様な時代小説系 と分けられると思うんだけど(それプラス「マサシリーズ」や「今…

怖い話もいい話しも「1950年のバックトス」(北村薫)

一度だけやってみたいことがあるのだが。 場所がなるべく周りに人家のないところがいいだろう。周囲が暗いのもポイント。街灯はついてないに限る。 でまず、家の灯は全て消す。この場合、ブレーカーを落としてしまうのもあり。 でやはりローソクがいいねえ。…

公害の本です「苦界浄土」(石牟礼道子)「ドキュメント隠された公害」(鎌田慧)

ここんとこ読んでいるのはノンフィクションが多いです。僕はもともとノンフィクション好きなんですけど(まあこれが現実だよってね)、今回はちょっと公害関係。 はいはい、そこ、暗くならない。 まあ公害といっても四大公害ぐらいしか知らなかったのでいい…

恋愛体質「県庁おもてなし課」(有川浩)

最終弁論 弁護側 まず、僕らはそこに恋愛があるだけできゅんとくるじゃないですか。きゅんですよ。そして読むたびに幸せになる。そう、有川の作品はこのきゅんを無尽蔵に作り上げてくれるんですよ。それなのにそれがないって、あーた。そんなのぱるるのいな…

別れても好きな人「おかしな二人」(井上夢人)

んなわけない。 というか別れたのはなんだかんだの須田町で結局 「意見があわなかった」からではないかいと思ってしまいます。そんなこと考えていたらこんな本を読んでどわわわわ、すげえ、ここまで書いていいのって思う本読んじゃったよ。 『おかしな二人』…

ああ酷い「城の中のイギリス人」(A・マンディアルグ)

劇薬小説というものがある。どう考えてもとんでもなく読んでいても汗腺が開き口の中は渇き目は充血、耳鳴りは止まらず、悪寒が止まらず、なんど読むのをやめようかと思う・・・いわゆる非人間的な小説である。血は流れ、筋肉は裂け、液体は浸潤する。皮膚は…

仮想キャバク「インディゴの夜」(加藤実秋)

「いらっしゃいませ、文藝キャバクラ『藪の中』にようこそ」 「あの…初めてなんですが」 「それでは当店のシステムからまずご説明します。60分飲み放題、8時まで5000円です。延長は60分6000円、場内指名は2000円となります」 「あの・・・ど…

様式美こそミステリだ「能面殺人事件」(高木彬光)

昭和のミステリを読むとトリックのあまりな感じに気恥ずかしくなってしまうけどでもそれでも読みたい昭和ミステリ。『能面殺人事件』高木彬光 きたーーーーーー。古き良きミステリきたーーーーーー。 殺人事件は旧家で起きること。殺人は連続であること。死…

関西弁の楽しさ「疫病神」(黒川博行)

やっぱもやもやしたときにはピカレスクやね。 黒川博行『疫病神』 いやぁ読むべき読むべきだったねえ。 あのね、これでもかなピカレスクロマン。主人公は建設コンサルタントの二宮とヤクザの桑原。この二人が産廃場もをめぐる取引に巻き込まれて…… いいなぁ…

数学好きです「浜村渚の計算ノート 2さつめ」(青柳碧人)

実は法学部出身の癖に数学のが得意であった。 まあね、高校が付属校だから全科目均等にやるんですよ。だから日本史も数学も物理もやってたよ(まあ付属独特のぬるさでだけど)。 で、その中で一番好きなのは数学だった。ちなみに苦手は古文。それを今教えて…

過去との対峙「人質の朗読会」(小川洋子)

こんなのあるんだから本を讀むのはやめられないんだよねえ。 『人質の朗読会』小川洋子 うわわわわ。やられた。ああ、やられた。いや、やられた。 この本の凄いところって僕らは何のために本を読んでいるかってことなんだと思うんだよね。 いや 「自分のため…

歌手なのがもったいないくらい「アントキノイノチ」さだまさし

題名はふざけているのに涙止まらないよ。 『アントキノイノチ』さだまさし しかし、これなんか読むとほんとさだは歌手でなく小説家なのではないかと思っちゃう。天は二物を与えるよ、まったく。才能ってすごいね。 主人公は人が死んだあとにその部屋を掃除す…

イギリスの変人は凄い「解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯」(ウェンディ・ムーア)

ジョン・ハンターなる人物を知っているだろうか。 ドリトル先生のモデルになった人で有りながらジキルとハイドのモデルにもなった、18世紀イギリスに現れたブラックジャック、それがジョン・ハンターである。『解剖医、ジョン・ハンターの数奇な生涯』ウェ…

ミーハーでもいいじゃない「落語娘」(永田俊也)

教条主義者だったと思う。 学生の頃、蓮實重彦の「物語批判論序説」を読んだ。それは今あることに目を向けろ、そこに付随する口当たりの良い「物語」に騙されるなということだったと思う。 例えば映画を見る。その場合、僕らはつい付随している「芸能人の知…

キッツイ本だなぁ「ぬるい毒」(本谷有希子)

時に嘲笑は罵倒よりも堪えるものである。 『ぬるい毒』本谷有希子 あああああああああああ、嫌だ嫌だ。 いるんだよ、他者を知らず知らずに嘲笑するやつ。しかも嘲笑って言葉があっているんだよね。ほんとあざけ笑う。そんないやーな男とその男の磁力に取り憑…

文体で笑え「へらへらぼっちゃん」(町田康)

トイレに行って用をたすときは危険が一杯なわけで、まずは最初便座に座るときに、ああひょっとしたら便座は高熱で温められていて火傷をしてしまうのではないか、いやいやあるいは物凄い低温で座った途端心臓麻痺、すわ危険じゃないかあわわわわ、坐ってまず…

やっぱ山風だよ「海鳴り忍法帳」(山田風太郎)

というわけで山風。僕は山風だけでごはん三杯いけてしまうほど山風好きなんですが(注:山田風太郎のことですね)、みなさんいかがですか。 ええ、読んだことない?そうでしょうねえ。 ええ、売ってない?そうでしょうねえ。 ええ、誰だ?そうでしょうねえ。…

数学は面白い「浜村渚の計算ノート 3さつめ」(青柳碧人)「ウケる数学」(名取亮)

皆さんの嫌いな数学の話し(一部好きかも)。 うーん、これくらい好き嫌いが分かれる科目ってないのかもしれないなぁ。苦手な子はほんと嫌いだし。自分も今、個別で教えているんですけど(数学は大っ嫌い)、ほんと目が死んでいるんだよなぁ。まず考えようと…

洋服好きなんです「服が掟だ!」(石川三千花)

洋服好きです。 もう、ほんと馬鹿につける薬はないくらい「服バカ」なんですよ。一部屋は洋服だけの部屋にしてあるんだけど、どうにもそれでは入らない感じ。ええ、どうしましょう。というわけで今年は少しばかり服を買うのを控えようかと思ってます(どうせ…

2060年くらいにはできるかも「妙なる技の乙女たち」(小川一水)

SF好きなのに「火星の人」を読んでいないで時代に乗り遅れた男です。 ところで男性ってなんで宇宙好きなんでしょうかねえ(女性も?)。あれですか。未知の物を開拓していく楽しさでしょうか。たしかに僕も「2001年宇宙の旅」も大好きだし(もう2016…